SDGS時代に求められるリーダーの本質とは

2015年に国連で採択されたSDGsは、地球温暖化の問題やスエーデンの16歳の少女グレタ・トゥーベリ氏のスピーチなどを機に日本でも関心が急速に高まっています。
オフィス街でも17色のSDGsのバッチをつけるビジネスマンが目につくようになってきました。

SDGsの目指すところの本質は、地球を守りたいと心から願い、そのように日々生きていくことです。
そのためには、まず、我々人間もこの惑星の上にいる自然の生き物の一つであることを自覚し、これまでの行き過ぎた量的成長志向からサステナブルな考え方に変える必要があります。
そして、昨今のこの一連の流れは、地球を一つの生命体と考えた場合、地球自身が生命の危機を感じたことによる自然治癒力によるものかもしれません。

さて、このような流れが生まれた背景には様々な要素があると思いますが、この行き過ぎた量的成長志向への反省です。
その根本には、人間の深い欲望があると思います。常に量や規模の拡大、また何か新しいものや欲しい状態を求める情動です。
欲望は、人類の進化や成長には必要なもので、それにより便利で快適な生活が実現されました。
しかし、一方で二酸化炭素や排出ガス、プラスチックごみなどの新たな問題が発生し、それらは、人間をはじめ多くの生命の危機をもたらす可能性すらでてきてしまいました。

欲望は、ある一線を越えると無限に広がっていくことで問題を起こします。これは人間の性かもしれません。例えば日産の元CEOのカルロスゴーン氏の報酬問題をみてもうなずけるのではないでしょうか。
今、地球レベルで、欲望に基づく際限なき成長が問題としてクローズアップされています。
世界は正しい生き方を模索していると言えるかもしれません。
では、正しい生き方とは何でしょうか。

正しいとは、「一」に「止」と書き、一線をこえない範囲で止まることも示しています。
その一線を越えると、more and moreとなり、際限なく広がる欲望の世界に入ってしまいます。

禅語に「少欲知足(しょうよくちそく)」という言葉があります。
「少ない欲(小さい欲ではない)で、足るを知る」、つまり、欲望はほどほどにし、今の状態を有難いと感謝をする。
これはサステナブルに生きるヒントになるのではないでしょうか。
言い換えれば、丁寧に生きることと言えるかもしれません。
ここでいう欲望とは「もっとほしい、もっとほしい」といういわゆる「貪るこころ」のことです。

これをリーダーシップに当てはめると、どうなるでしょうか。
地球の生命を守るというSDGsの視点で観るとどうなるでしょうか。
一言でいうと、企業の持つ経営資源を大切にすることと言えるかもしれせん。
企業における上司と部下との関係で例えると、次のようなことが挙げられます。

部下を大切にし、感謝を表す。
部下との対話を大切にする
部下をワクワクさせる
部下の価値観を知る
部下の興味があることに関心を持つ
部下の成長を自身の喜びとする
部下の天命を見つける対話をする
部下と一つになる(ONE TEAMとなる)

結局、部下の命を喜ばせる様に考え、行動することがリーダーにとって重要なポイントになります。
部下がワクワク天命に基づき仕事をすれば、想像をはるかに超えるパフォーマンスを上げることも可能だと思います。
ヒト・モノ・カネといった経営資源の中で、ヒトにだけあってモノとカネにない特徴は、その可変性にありそれを刺激することが必要な時代です。
また、能力の差が2~3倍であっても、想いの差は100倍にも200倍にもなるからです。

そのためには、まず、リーダー自身がこのような時代背景の中での自身の天命を知ることです。
自分の天命が何かを考える時間を持つことが必要かもしれません。