「成長」か「現状維持」か

私の好きなテレビ番組に「プレバト」というものがあります。

 芸能人が俳句を作り、それをプロの先生から名人へ向け「前進」か「現状維持」か「一歩後退」かの評価を受け、その作品を添削するというものです。参加者は、皆、「前進」を目指し努力をしますが、そうならないケースも多く、その一喜一憂を楽しむ番組です。

 人が「前進」したいと思うのは、どこかに「成長」することを望んでいるからです。それは、スポーツでも学習でも仕事でも同じです。私は、企業において「成長」というキーワードはとても大事なものだと思っています。

ビジネスの場では、予定しているようには受注が伸びなかったり、期待しているように部下が動いてくれなかったり、想定外の出来事で計画が狂ったりと、思うようにならない場面も多いものです。しかし、それを乗り越えるために知恵を出し、仲間と力を合わせ努力することで克服できたときた、達成感を感じると同時に「成長」を経験します。そしてまた、さらに難しい場面に遭遇し、それを乗り越える中で「成長」を経験し、ビジネスマンとしての力をつけていきます。仕事の喜びはこうした時に感じることも多いものです。ピータードラッガーは「仕事は人を成長させる道具である」と言っています。

 ビジネスリーダーは部下が困難な状況に遭遇した時こそ、それを自ら乗り越えるような

支援をすることが必要です。そのためには、部下一人ひとりの特性や彼らの成長ポイントを

考えて丁寧な対話をすることが求められます。結果を急ぎ、拙速なアプローチは逆効果になります。部下がそれを感じると「成長」思考から「現状維持」に変わってしまい、挑戦意欲が薄れてきます。人は「現状維持」の方が楽なので、変化に抵抗感を感じる一面もあるからです。人を育てることは、木を育てるのと同じように時間がかかります。そうした時間軸を持てるかが、リーダーの器として現れることでしょう。

 宇宙はビックバンから始まって、広がり続けています。森林にある木々も種から「成長」し大木になっていきます。人も動物も赤ちゃんは大人へと「成長」していきます。「成長」とは自然の摂理でもあります。