ZENトレプレナーの活動とは

2004年に米国在住のビジネスパートナー、トニー・エバンス氏に会った時、彼の奥さんのキャロラインから、ZENトレプレナーの話を聞きました。

ロン・ルービンとスチュアート・ゴールドという二人の起業家(アントレプレナー)が東洋思想ZEN(禅)をベースに経営をしていること。
そして、起業家(アントレプレナー)は「Entrepreneur」と書きますが、その前にZをつけると、「ZENtrepreneur」となり、禅をベースにした起業家という意味の造語を作って、それを広めていると。
(このあたりのことは渡辺昇一氏監訳の『「人生の成功者」になれる人―自分の夢をつかみ実現する方法』大和書房刊)で取り上げられています)) 

当時、禅と経営を結び付けた活動をしたいと思っていた私には、この言葉との出会いが何故か運命的なできごとのように思えたのです。
そしてそれから16年経った今、私はまさにその活動をしています。

現在世の中の変化は大きく、まさに大転換期の真っ只中にいることを実感します。
この地球という限られた環境のなかで、経済が拡大し続けることによる、環境問題、エネルギー問題、食料問題など、様々な問題が起きています。
こうした中で、サステイナブルな考え方の重要性の下にSDGsなどの動きが活発化しています。
地球という自然環境を大切にしていかなければ我々の存続自体も危ぶまれる時代になっており、「自然」というテーマもより重要性を増していると感じます。

こうした背景の中で、私の目指すZENトレプレナーの「ZEN」は、「然」「善」「全」「禅」の4つの活動を表しています。

「然」は自然の意味で、自然の中で生かされている自分を再認識し、自然とともに生きていくこと、「善」は煩悩の多き人間ができるだけ良き人間になるよう努力すること、「全」は「一即多、多即一」という言葉があるように、全ては一つ、繋がっていて一体感をもって生きていくこと、「禅」はこれらを実践するうえでの考え方や実践をおこなうこと。

その中で最近は特に「自然」という言葉の重みを感じています。
テレワークにより都会に出ることなく大磯という自然豊かな環境で日々仕事をしているからかもしれません。
そして自然と働き方改革との関係を考えるうえで、「バイオフィリア」という考え方に注目しています。
バイオフィリアは、1984年にエドワード・O・ウィルソンが提唱したもので、人と自然の本質的な関係を説明するとともに、人には自然とのつながりを求める本能的な欲求があるという概念です。
世界中でみられる著しい都市化やIT化により、昨今我々の生活はますます自然と離れたものになっています。
こうした概念の下オフィス環境をととのえる会社もでてきており、シアトルにあるアマゾンは、本社前に、外からは生命力あふれる植物園にしか見えない「グリーンドーム」という緑のドームを建設し、このドームをワークスペースとして従業員に解放しています。
こうした環境下で仕事をすることにより、

(1)幸福度が上がる 

(2)生産性が上がる 

(3)創造性が高まる 

という効果が確認されています。

 ZENトレプレナーでは、ZENネイチャープログラムとして、山道を歩き、小鳥のさえずりを聞き、爽やかな風を感じる機会を通じて、人と自然の繋がりを取り戻し、人間としての基盤作りを強化することを目指しています。こうした体験を通じて、子供のような純粋な目、素直な心で、日々のビジネスをみることができるようになっていきます。
そしてそれは、不確実性の時代下でビジネスを考える上で必須な直観力を養うことに繋がるのです。